2025年5月28日、米国のJ.D.ヴァンス副大統領は、ラスベガスで開催された「ビットコイン2025」カンファレンスで、トランプ政権の暗号資産（仮想通貨）政策について演説を行いました。これは現職副大統領として初めて仮想通貨関連のカンファレンスに登壇した歴史的な出来事であり、注目を集めました。以下に、演説の主要な内容を詳細かつわかりやすくまとめます。
1. ビットコインを米国の戦略的資産と位置づけ
ヴァンス副大統領は、ビットコインが今後10年間で米国にとって「戦略的に重要な資産」になると強調しました。この発言は、ビットコインを単なる投資対象や投機資産ではなく、国家の経済・金融戦略における重要な要素とみなすトランプ政権の姿勢を反映しています。彼は次のように述べました。
・ビットコインは米ドルと競合するものではない。むしろ、米国の金融システムを強化し、インフレに対するヘッジや地政学的なカードとして機能する。
・ビットコインは、米国の金融主権を支え、ドル基軸通貨の地位を維持する手段として活用可能だと主張しました。
2. トランプ政権の仮想通貨政策：3つのステップ
ヴァンス氏は、トランプ政権が仮想通貨業界を支援するための具体的な政策を3つのステップで進めると表明しました。詳細は以下の通りです：
1. 規制の明確化
・現在の規制環境が不明確であるため、仮想通貨業界が成長しにくい状況にあると指摘。
・規制を明確化することで、企業や投資家が安心して仮想通貨市場に参加できる環境を整備する。
・ 特に、市場構造法案を通じて、ビットコインや他の仮想通貨の価値を制限するのではなく、保護・促進する方針を強調しました。
2. イノベーションの促進
・米国を「暗号資産の世界の中心地」にするため、技術革新を後押しする政策を推進。
・ビットコインのマイニングやブロックチェーン技術の開発を国内で積極的に支援する計画。
3. 国家戦略としてのビットコイン備蓄
・トランプ政権がビットコインを国家戦略的準備金として活用する方針を支持。
・すでに大統領令を通じて、IRS（米内国歳入庁）が押収したビットコインを国家備蓄として利用する計画が進行中であると説明。
3. **ステーブルコインの役割とドル強化
ヴァンス氏は、ステーブルコイン（米ドルに連動する仮想通貨）についても言及し、以下のように述べました：
・ステーブルコインは米ドルを脅かすものではなく、むしろドルのグローバルな影響力を強化するツールになる。
・ステーブルコインを経済戦略の柱として活用し、米国の金融システムの競争力を高める方針を示しました。
4. 規制の遅れによるリスクへの警告
ヴァンス氏は、規制の明確化が遅れることの危険性について警告を発しました
・仮想通貨市場はすでに3兆ドル規模に成長している。規制の明確化に失敗すれば、この業界がより友好的な海外の管轄区域に流出するリスクがある。
・トランプ大統領は米国が他国に後れを取らないよう、積極的に仮想通貨業界を支援する姿勢だと述べました。
5. 個人としてのビットコインへの関与
ヴァンス氏自身がビットコインに投資しており、2023年8月の連邦財務開示書類によると、最大50万ドル相当のビットコインを保有していることが明らかになっています。この個人的な関与が、彼の仮想通貨に対する深い理解と支持の背景にあるとされています。
6. トランプ政権の仮想通貨へのコミットメント
ヴァンス氏は、トランプ政権全体が仮想通貨業界の味方であることを強調しました
・トランプ大統領が過去に仮想通貨カンファレンスで演説し、米国を「ビットコイン超大国」「世界の仮想通貨の首都」にすると宣言したことを引き合いに出し、副大統領としてそのビジョンを実現する役割を担うと表明。
・他の登壇者として、トランプ大統領の仮想通貨・AI特命官デビッド・サックス氏やトランプ氏の息子エリック・トランプ氏、シンシア・ラミス上院議員などが参加予定であることも紹介し、政権全体の仮想通貨への強い関与を示しました。
7. 市場への影響と背景
・演説の背景には、ビットコイン価格が10万ドルを超える高値圏で推移し、機関投資家の資金流入が続いている状況があります。
・トランプ政権の仮想通貨支持姿勢は、2024年の大統領選挙後のビットコイン価格急騰（一時10万ドル超え）や、ビットコインETFの資金流入増加といった市場動向とも関連しています。
・ヴァンス氏の演説は、市場参加者に対してトランプ政権の仮想通貨政策の方向性を明確に示し、投資家の信頼感を高める狙いがあったとみられます。
まとめ
J.D.ヴァンス副大統領の「ビットコイン2025」での演説は、トランプ政権が仮想通貨を米国経済の戦略的資産と位置づけ、規制の明確化、イノベーション促進、国家備蓄の活用という3つのステップで業界を支援する方針を明確に示したものです。特に、ビットコインをインフレヘッジや地政学的なツールとして活用し、ステーブルコインでドルの影響力を強化するビジョンは、市場にポジティブなメッセージを送りました。ヴァンス氏自身のビットコイン保有や政権の積極的な姿勢は、米国が仮想通貨業界のグローバルリーダーとなる意欲を象徴しています。
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